No.08 しんくうかん 2009.03.03
さすがにアホなことばっかり書いてるとウザがられそうなので、
たまにはマジメな事も書きます。
この前、ウチのマイクが修理から帰ってきた際の
感動の一大スペクタクル巨編をお送りしたわけですが、
あれ、何が故障したかといいますと
「真空管のヘタり(寿命)」 です。
SONY C-800G というマイクは、「真空管式コンデンサーマイク」 です。
中に真空管が入っています。
(ちなみにリンク先にあるお値段は、マイク本体「のみ」の値段です。「電源ユニット」 が別途必要。20まんえん たけぇ。)
オーディオ関連の機械にいまだに利用されるこの真空管という素子は、残念ながら思いっきり
「消耗品」です。 駆動する時間が増えると、消耗して爆発します。
うそです。爆発はしませんでした。 なんか変なことになります。
歪んだり、ノイズを出したりします。
そのノイズが 「ボソッ、、ボソボソッ、 ガサゴソガサッ、、、、 ボボボソボソッ、、、ボソッ サミシイ ボソッ、、、」
っと、独特のノイズを出します。いやほんとに。 しかも、かなり小さい音です。
で、それが「マイクに風の音が入った時」 の音に似ているので僕らはそうなった時、
「お、風が吹き始めた」 とか 「なんかいい風吹いてるのでとっかえなきゃ」 などと言います。
この手のノイズが鳴ったら、実は後ろに カオナシ がいた という以外は、
十中八九、真空管のせいなので、真空管を交換したりします。
真空管の寿命とトラブル
(http://www.geocities.jp/brabecaudio/)
(わかりやすく、面白い記事 発見。すごいなあ。 リンクを張らせていただきます。)
普通の真空管マイクはこういう感じで
クルッ、シュパッ っと簡単に真空管にご対面できて交換できるんですが、
800Gの場合はどうもそうではないっぽいです。
誰に聞いても うつむき加減で 「いや、自分でやるのは止めた方がいいよ、、、」 とか、
「自分で?! しーっ!バカおまえっ! やられるぞ!?その話する時は気をつけろ!」 としか言わないし、
以前修理に出した時に、ダメになった真空管もご丁寧に送り返してくれたんですが、
こんな、運動会のおにぎり的な 謎なアルミホイルみたいなものがくっついて くるまってたりするので
(まあ、たぶん廃熱関係とか、磁界がどうとか なんだろうけど)、
おっかないから、おとなしく修理に出して毎回4万くらいとられてます。 たけぇ
でね、よく真空管の音うんぬんの話があって、僕もいろいろ買って試した事はあるんですが、、、
その結果 「すわっ!! こりゃあ、無限の可能性の世界が広がってるぜぇぇぇ!」 という感じで、
いくら時間があっても足りなそうで 正直、キリがないという感じです。
というか、そこを変え始めると もともとのその機種のイメージすらブレてしまう。
僕が知っている機種では無くなってしまう。
なので、僕が仕事で使う機材の真空管は 「基本、メーカー推奨のもので、それも含めたその機種の音」 と考える事にしましたので、
今後とも宜しくお願いします。
ちなみに、真空管というのは実はかなりヘボい素子です。
「音がキレイに」 なんて 滅相もありません。 逆です。性能はかなり効率が悪い方です。
「正確さ」 という点ではトランジスタの方が格段に上です。 (条件にもよりますが)
「でもその歪み方が場合によってはとても音楽的」 それだけなんです、真空管を使う理由は。
間違っても真空管は 「水戸の印籠」 では無いので勘違い無きよう。
もひとつちなみに、エンジニアの技術の一つとして
「ノイズの音をおぼえる」 というものがあります。
ノイズというのは、使用している機材になにかしらの問題が起こったときに発生する「音」 で、
それを憶える、そしてそのトラブルを解決した方法もセットで憶えておく事で、
次にそのノイズを耳にしたときに、迅速に対応できるようにしましょう
と、伝説のエンジニアの書には書いてあります。 たぶん。
先ほどの真空管の発する 「ボソボソ」ノイズ は、かなり特有な音なので、
その音を知っていれば一瞬で、「あ、真空管だ」 と分かります。
しかしながら、本当に小さな音で なかなか気付きづらいかもしれません。
でも、エンジニアは 「いい音」 ばかりを追及する仕事ではありません。
「ダメな音」 も知らなくてはならない。 「ダメな音」 にならない為には という考え方も必要なんです。
だから、常に耳をそばだてておくクセがいつの間にか付いてしまうのですが、
そのため、後ろで誰かがパソコンで聞いている音楽が一瞬飛んだりするだけでビクッとなってしまう体質になります。
(以前にその手のエラーで嫌な思いをした証拠。 うう、こわいよう)
ノイズにはいろいろな音のタイプがありますが、問題を起こしている箇所によって出す音の傾向が近いので、
ノイズを聞いただけで、どこがおかしいのか だいたい予測できます。
「ザーザー、ブーン、ジージー、チッチッ、チュー、ボソボソ、ビビー、ホロッホー」
あとは音以外にも、スタジオのようにある程度のシステムを組んでいると、
突然音が途切れるとか、音質がおかしいとか いくらでも出できます。
そういうトラブルに見舞われたときに、いかに迅速にトラブルを回避・応急処置をできるか
というのも、エンジニアの手腕の一つ というか、エンジニアとして必ず必要な 「大事な技術」 です。
当たり前です。お客様は、お金を掛けてスタジオを使ってくれるんですから。 (今いいこと言った)
そんなこんなで、僕も頑張りますので、みんなでがんばりましょう。
お し ま い