MURATA. Blog

No.20     比較                        

 
 
 
そんなことより、

だいぶいまさらですけども、 みなさん これ聞きました?
 
 
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サウンド&レコーディングマガジン 2009年3月号
「スターリング・サウンドのエンジニアによるマスタリング競演」
 

だいぶ話題になりましたね、これ。 
出た時は、毎日毎日、 来る人来る人 みなさんに 「あれ、聞きました?」 と聞かれました。
 
そりゃそうですよね。 いい意味で 「信じられない企画」 なわけです。
「共演」 じゃなく 「競演」 です。 
みんなの夢が、雑誌の付録で、、、 って。 なんすかそれ。 すごい。
僕も興奮して、知り合いの編集の方に 気になった詳細をメールで質問してしまいました。

とりあえず初めにお礼を。 編集部のみなさん、ありがとうございました。 すごく勉強になりました。 
 
 
いやはや、なにがすごいってね 
 
エンジニアの視点から言わせてもらうと、
「スターリングのみなさん、よく受けてくれたなー」 と思うわけです。
 
世界にエンジニアが 「一人では無い」 時点で、
エンジニアは、「比較される対象」 です。 
「良い」、「悪い」、「あっちのエンジニアの方があっている」、「好き」、「キライ」、、、、
 
「音楽に正解は無い」
  
だから、誰かが 「良い」 と言っても別の誰かは 「悪い」 と言う。
音楽を聞く場でもそれはあるし、同様に 創る現場でも それがある。
 
当然、僕らエンジニアは、そうやって比較されるのが当たり前の事であると理解しながら仕事をしています。

ただ、音楽は スポーツではありません。
勝者、敗者を決めるものではない。
エンジニアは、自分の手元に来た音楽を 「最良のカタチ」 にするために存在する。
誰かと競うためにやっているわけではないのです。
 
だから、今回のような企画は やる側から見れば、
あまり気持ちの良いものではないと思う。
明らかに 
「比較」 されるカタチで並べられるからです。
「比較」 するために並べられるからです。

いやまあ、それは分からないか。 
もしかしたら、こういうのに燃える人もいるかもしれませんね。好きな人もいるかもしれません。
「どうだぁーおれさまの実力はーー!おれさいこー!」 みたいなね。
まあエンジニアは少なからずとも、そういう部分がちょっとでも無いとやっていけません。 
(そればっかりでもウザいですけどもw)
 
でもこれがね、もし例えば 
「この5曲の中から、一番自分のカラーが出せると思うものを自分で選んでマスタリングしてください」
とかだったらまだ分かります。
それぞれの得意な技術をお披露目する感じなら分かる。 
 
 
今回の場合、企画した側の人がいくら、
「こんなにいろんなアプローチの仕方があるんですね。そこをみんなに聞いて欲しい」と言っても、
こういう風に並べられたら、おそらく大抵の人が
「誰が一番良いか、悪いか」 という聞き方をするでしょう。
勝者、敗者を決める聞き方をしてしまう。
 
 
それが分かったうえで、こういう仕事を受けるのは、やっぱり簡単なことでは無い と僕は思います。
そういう意味で、僕はスターリングのみなさんに拍手を送りたい。 ぱちぱちぱち
 
 
でね、
みなさん、 誰が一番良いと思いました?  (←いきなり台無し)

僕はね、、、、
ナイショ。   
 
というか、決められないんです。 何か条件が無いと。
この楽曲が、シングルリード曲なのか、シングルカップリング曲なのか、アルバム収録曲なのか、はたまた配信する曲なのか、、、
それによって、選ぶ物が全然変わってくるんです。 まあ、当たり前の事ですけど。
 
今回の企画で一つ要望があったとしたら、
「何か一つだけ注文を出して欲しかった」 という事ですかね。
例えば、「シングル曲として」 とか、「ダイナミクス重視で」とか、
普段、マスタリングで注文を付けるときのようなものを1つだけ統一のシバリというか条件をつけてもらったら、
もっと公平な、、、、ってそれこそスポーツになっちゃうのかな。どうなんだろ。
でも、そういうのも聞いてみたかったですね。  

  
それではここで 突然ですけど、僕のエスパーなスキルでみなさんの感想を予言してみます。
 
 
むむむ~  はぁっ!    
 
 
みえました。 
 
 
みなさん、 
「トム・コイン氏のが一番良かった」 って人、多いんじゃないですか?
それか、3番目(トラック4)の 「グレッグ・カルビ氏が良かった」って人も多いんじゃないですか?
 
どうでしょう?当たりました? あれ?ちがう?
 
 
あのね、なんでそう思うかっていうと、
あの並びで聞くと、トム・コイン氏のが一番デカイんです。圧倒的に。 次にグレッグ氏かな。
それはトム氏本人も述べてますね。そうしてるんです。レベルの限界に挑戦したんですって。
で、やっぱりこういう並びで聞くと、そういうのが一番、派手で耳につくんですよねー。

はい。みなさん、ここ注目です。
これこそが、今現在も世界中でおきている 「音圧競争」 の仕組みでした。 ちゃんちゃん。
 
 
、、、いやー、ね。 どうしたもんですかね。これは。
なんか、もう しょうがないのかなあ 
僕も、今回の「トム・コイン氏がいい」っていう意見は分かりますもん。
デカけりゃいい ってもんでは無いのは重々承知してはいるんですけど、、、ね、、、
 
 
最後に、今回の企画の僕の正直なストレートな感想はというと、、、
 
 
「マスタリング前の、MIXの段階の音源が良すぎ!」
 
という事です。 いやーすごい。
もうMIXの段階でこうなんですね。すばらしい。
もっと言うと、たぶんレコーディングの段階から やっぱりかなりハイレベルな感じなんだなと、マスタリング前の音源を聞いて思いました。
こういうの聞かされると、姿勢がピキーーンと正されます。ほんとに。 ドキドキしてくる。
僕も頑張らねば、、、。  
 
 
がんばる。 もっとがんばる! 

  

 
 


 

 


 

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